「スロウハイツの神様(上)、(下)」(辻村深月)

上巻のラストで続きが気になってうっかり下巻を読み始めてしまいました。あああ、明日も朝早いのに…と思いつつも途中で止められず、結局最後まで読む羽目に。迂闊。
紹介の欄には「青春群像」て書いてありましたが、私にとってはこれはまごうことなき恋愛小説でした。しかもものすごーーーーくツボな。
密かな静かな、でもとても強い想い。というシチュエーションにめっぽう弱いのです。
上巻を読んでる間は、パズルのピースを少しずつ手に入れてきっとこれをはめ込んでいくような展開になるのだろうなあとかぼんやり思っていたのですが、それどころではなかったです。下巻は、パズルのピースが勝手にすごい勢いで所定の位置へ飛び込んでいくのをあっけにとられて見守る、という感じでした。
しかもそのピース、思ってた向きと逆だったり、はまるべきところにはまったら単体のときとは違う色に見えたり、ピースだと思っていなかったものまでがピースだったりで、ものすごく精密な話なのだなあと思いました。
それなのに、気持ちを揺さぶる力はものすごく強くて、完全にしてやられました。掃除機の話を聞いたところと、ケーキのお礼を言われるところでは、涙が流れっぱなしでした。読み終わって我に返り、ああああもう寝なくちゃと布団に入ってからも涙が流れて耳に入りそうになりました。
こんな感覚、久しぶりです。この感じは何て呼べばいいんでしょうか。
感動は動揺に似てる気がする。

ホール1万円のチョコレートケーキが食べたい。

やーもう。
彼の20代に何があったかは、ずっと、そしてきっとこれからも語られない。たとえ、素っ頓狂な人だとか適当な調子のいいことを言える人だと誤解されるとしても。
そんな漢らしさに涙が出そうになります。最高!

(追記 2007/4/5)
「canとable」てそういう意味か!(気付くの遅。)
(追記2 2007/5/30)
アメリカンぽく言ってみると分かりますよ。ん?ブリティッシュぽくか?

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